経済に関する話題と切っても切れないのが「GDP」です。おそらく、聞きたことがないという人はいないでしょう。ニュースに触れる習慣のある人なら、ほとんど毎日のように耳にするかもしれません。
ところで、「GDP」とはそもそもどういう意味なのでしょうか?また、なぜこのGDPというものはこれほどまでに重視されているのでしょうか?このページでは、GDPの意味と、なぜGDPが重要視されるのかについて解説しています。
GDPの意味と重視される理由
GDPとは
まずはじめに、GDPの定義からみていきます。GDPとは、「Growth Domestic Product」の略で、日本語では「国内総生産」といわれます。広辞苑では以下のように定義されています。
1年間に国内で新たに生産された財・サービスの価値の合計。
定義の意味
「1年間で」とあるように、GDPは期間を区切って算出されます。ニュースで「第○四半期のGDPが…」というのを聞いたことがあるでしょう。四半期で算出する場合は、4倍して1年間になおして計算されます。
「国内で」という意味は、国籍は関係ないということです。例えば、日本国内で中国人が働いた場合、その人が生産した財・サービスは、日本のGDPに含まれます。反対に、日本人が外国で働いても、日本のGDPには含まれません。
「新たに生産された」ということは、新品の売買に限り、中古品の取引は含まれないということです。
「財・サービス」なので、有形無形のもの両方が含まれています。
「合計」されるのは、合法的かつ市場で取引されたものすべてです。非合法の薬物などの違法取引や、家庭内でのやり取りはGDPから除外されています。
なぜGDPが重視されるのか
GDPは国家の経済状況を表す指標として最も重要視されています。それは一体なぜでしょうか。
話をわかりやすくするために、国家という単位を一人の人間として考えてみます。ある個人の経済状況を判断したい場合、何を見て判断するでしょうか。おそらく、深く考えるまでもなく、その人の所得だと思います。高い所得を得ている人、つまり稼ぎの多い人は、より良い暮らしをしていると考えられます。
反対に、所得の低い、稼ぎの少ない人は相対的に低い生活水準であると考えられます。所得の高い人は、快適な住環境、高級車、贅沢な娯楽、最新の健康管理、安心・安全な生活、自身や子供に対する高い教育などの高い生活水準を享受することができます。これは自明であり、議論の余地はないでしょう。
これと全く同じことが国家にも当てはまります。ある国の経済状況を判断する場合、その国の経済の総所得であるGDPをみることになります。GDPは、国家の総所得だからです。個人の場合と同じように、GDPの高い国のほうが低い国よりも生活水準が高いと考えられます。また、国によって産業などの経済の構成要素は異なりますが、GDPはそれらを市場価格という単一の尺度を用いて比べることを可能にします。
GDPは総所得であり総支出
GDPは、経済の総所得と総支出を同時に測定します。総所得と総支出は同じなのです。これは、ある人の支出は他の人の所得であるという単純な事実に基づいています。例えば、田中さんが鈴木さんに5千円支払ってマッサージをしてもらった場合、田中さんの支出と鈴木さんの所得は等しく5千円です。この取引により、総所得・総支出どちらから測定してもGDPが5千円増加します。
総支出=総所得
GDPの内訳
GDPは、以下の様な恒等式に要約できます。
GDP=消費+投資+政府支出+純輸出
純輸出とは、輸出から輸入を差し引いたものです(純輸出=輸出-輸入)。
しばしば財政健全化のために政府支出の削減が議論になりますが、この式から分かるのは、政府支出の削減は(少なくとも短期的には)GDPの減少になるということです。

