サム・ウォルトンは、一代でウォルマートを世界最大の小売企業にまで育て上げた20世紀を代表する起業家、経営者です。日本ではウォルマートはあまり馴染みがありませんが、西友を展開しているのはウォルマートです。そんな偉大な実業家であるサム・ウォルトンが、ビジネスで成功するための10カ条というものを遺しています。そこで、すべての人に参考になるであろう、その10カ条について調べました。
サム・ウォルトン伝 一代でウォルマートを築いた20世紀最高の商人
Photo by:Mike Mozart
目次
サム・ウォルトンの10カ条
1.自分の仕事に熱中しよう
Commit to your business.
“commit”という言葉には、「専心する、傾倒する」という意味があります。自分のビジネスに傾倒するほど打ち込むことが、ビジネスを成功させるためには必要です。当然ですが、成功した人で仕事に熱中していなかった人はいません。ウォルトンは情熱によってすべて克服できるし、情熱をもって取り組んでいるうちにそれがいつの間にか周囲にも感染していくと語っています。
2.利益を従業員と分かち合って、パートナーとして扱おう
Share your profits with your associates and treat them like your partners.
従業員を単なる部下、使用人として扱うこともできます。しかし、ウォルトンは従業員をパートナーとして扱うことで、従業員も自分をパートナーとして扱ってくれ、団結して仕事ができると語っています。もちろん、それは形式だけではなく、ウォルマートでは従業員に自社の株式を優先的に提供し、会社と従業員が一致した利害関係を持つようにしていました。
補足すると、こういうことです。従業員に割引株式を提供し、退職後の備えとします。これにより、従業員は単に会社の一員というだけでなく、会社の価値(株価)が上がることで直接的に恩恵を受けます。従業員が熱心に働くほど、会社の価値が高まります。これは、会社と従業員双方にとって利益になります。
3.同僚を活気づけよう
Energize your colleagues.
パートナーたちを活気づけ、意欲を引き出すには、給与や株式だけでは十分ではないとウォルトンは言います。そのために、常に新しく興味深い方法を考え続ける必要があるといいます。公平で明確な評価システム、高い目標を掲げることはもちろん、慣例や常識にとらわれない方法を試していくことが重要です。
4.できる限りすべてをパートナーたちに話そう
Communicate everything you possibly can to your partners.
一般に、情報を公開することは危険だと考えられています。しかし、ウォルトンは情報の公開によるリスクよりも、得られる利益の方が大きいと考えています。情報を公開し、従業員が知ることで理解が深まり、関心を持つようになり、さらなる力を発揮するという考えです。また、情報を隠していたら、従業員がパートナーとして扱われていないと気づくことになります。
5.従業員が仕事のためにしたことはすべて高く評価しよう
Appreciate everything your associates do for the business.
ウォルトンによると、従業員に感謝し、賞賛することは、どんな報酬にも匹敵するほどの効果があります。従業員を褒めることは、手のかかることではなく、賞賛してし過ぎることはありません。しかし、これを実行するには、日頃から従業員に目を配ることが必要です。口先だけで褒めても、すぐに見抜かれるでしょう。
6.成功を祝おう
Celebrate your success.
成功したら喜び、祝いましょう。ウォルトンは、深刻になりすぎず、リラックスして楽しむことを勧めています。熱心に仕事をするのと、それに執着して固執するのとは違います。
7.すべての従業員に耳を傾けよう
Listen to everyone in your company.
ウォルトンは、顧客に実際に接する従業員が最も実情を知っていると考えています。誰もが意見できるようにする方法を考え、それを会社の体質にすることが大切です。従業員の意見にこそ、会社を改善させるヒントがあります。また、従業員の意見を聞く会社であれば、従業員も様々なところに目を光らせながら仕事をするようになるでしょう。
8.顧客の期待を超えよう
Exceed your customers’ expectations.
期待外れほど顧客を失うものはありません。ウォルマートは「満足を保証」というモットーのもと、少しでも顧客の期待を上回るように取り組んでいます。期待以上のものを得られると、顧客はリピーターになります。
9.競合相手よりも経費を抑えよう
Control your expenses better than your competition.
このことが競争力の源であるとウォルトンは断言します。
たとえ多くのミスを犯しても、効率のよい運営をしている限り、回復できる。だが、それがあまりに非効率的なら、あなたがどんなに賢くても、やがて事業は行き詰まる。
競合相手よりも経費が少なければ、それだけで一商品あたりの利益は上回ります。経費削減というと賃金、すなわち人件費を抑えようと考える短絡的な経営者が多いです。しかし、賃金を引き下げることは自らの顧客を失うだけです。
もし賃金を引き下げれば、自らの顧客の数を減らすことになるだけである。
ヘンリー・フォード
10.独自の道を切り開こう
Blaze your own path.
ウォルマートのようなディスカウントストアを考えだしたのはサム・ウォルトンではありませんが、それを人口5万人以下の小さな町でやり始めたのはウォルマートが最初です。結果的に、ディスカウントストアブームを経て最強の小売企業として生き残ったのは、ウォルマートでした。
もしすべての人が同じ方向に進んでいるなら、まったく逆の方向に行き、自分独自の市場を見つけるチャンスだ。だが、誰もがそれは間違っているといって、足を引っ張ろうとするだろう。それを、覚悟すること。
まとめ
サム・ウォルトンはこの10カ条を述べたあと、「本当に難しいのは、これらを実行する手段を絶えず考えだすことである」と語っています。他人の法則を破ることを誇りにしてきたウォルトンは、この法則の真意は「すべての法則をやぶれ」であるとして、新しい法則の登場を心待ちにしています。
また、「勤勉」という、法則に入れるまでもない当たり前のことをする気もない人には、この法則など必要ないとも言っています。サム・ウォルトンの10カ条を参考にビジネスに熱中し、いつかサム・ウォルトンが感心するような自分なりの10カ条を見つけ出しましょう。
サム・ウォルトン伝 一代でウォルマートを築いた20世紀最高の商人